がん患者さんの妊娠出産に関する悩みにコメディカルはどう支援できるか?
背景
一部のがん治療は、卵子や精子などの生殖機能に影響を及ぼすことが報告されています。そのため、若くしてがんを患った患者さんにおいては、将来の妊娠や出産を心配する方も少なくありません。そこで、本研究では、がん生殖相談窓口にあった相談内容について内容分析という手法でまとめました。
方法
研究対象者は、某国立病院に開設したがんと妊娠・出産に関する相談窓口に相談をした患者および家族でした。相談内容をまとめた記録表をもとに内容分析を行いました。
結果
研究の対象となったのは51名でした。そのうち、相談を受けたのは患者本人が32名(63%)、家族が13名(25%)、患者本人と家族の両方が6名(12%)でした。
患者さんの特徴をみると、女性が40%、30代が28%を占めていました。また、婦人科がんや乳がんの患者さんが最も多く、24名(47%)はまだがん治療を始めていない段階でした。
相談内容を分析した結果、支援が必要な内容として9つの大きな項目と55の具体的な内容が見つかりました。主な支援内容は次のとおりです。
- がん治療によって妊娠しにくくなる可能性(妊よう性への影響)についての情報提供
- 妊娠する力をできるだけ残すための方法(妊よう性温存)についての情報提供
- 専門医や専門機関への紹介
- 治療や妊よう性温存にかかる費用への支援
- がんの進行や再発への不安に対する支援
- 妊娠しにくくなる可能性に直面したときの精神的なつらさへの支援
- がんの主治医と十分に話し合えるようにするための支援
- 家族との関係やコミュニケーションへの支援
- 治療や妊よう性温存について納得して意思決定できるようにするための支援
考察
この研究から、医師以外の医療従事者(看護師や心理士など)も、妊よう性温存に関する知識を身につけ、それぞれの専門性を生かして患者さんや家族の心理的な支援を行うことの必要性が示されました。
論文
Takeuchi, E., Shimizu, M., Miyata, K., Shimizu, R., Matsunaga, N., Moroi, N., Fujisawa, D., Mimura, M., & Kato, M. (2019). A Content Analysis of Multidimensional Support Needs Regarding Fertility Among Cancer Patients: How Can Nonphysician Health Care Providers Support?. Journal of adolescent and young adult oncology, 8(2), 205–211. https://doi.org/10.1089/jayao.2018.0085
関連資料・URL
厚生労働科学研究費補助金がん対策推進総合研究事業
小児・若年がん長期生存者に対する妊孕性のエビデンスと生殖医療ネットワーク構築に関する研究
https://www.j-sfp.org/ped/

