がん患者さんの家族において再発への不安はがん検診の受診を促す

背景

がんを経験した患者さんでは、「がんが再発するのではないかという不安(再発不安)」が、がん検診を受ける行動と関係していることが知られています。しかし、患者さんを支える家族や介護者についても同じことが言えるのかは、これまでよく分かっていませんでした。そこでこの研究では、家族や介護者が抱く再発への不安が、患者さんの診断から数年後の自身のがん検診受診に影響しているかを調べました。

方法

患者さんの家族や介護者813名を対象に調査を行いました。参加者の67%が女性で、平均年齢は56歳でした。
患者さんががんと診断されてから2年後に、がんの再発に対する不安、不安の程度、心の健康状態を調べました。
さらに、8年後に、患者さんのがんをきっかけとして、自分自身が、大腸がん検診、乳がん検診、前立腺がん検診を受けているかどうかを調査しました。

結果

家族や介護者ががん検診を受けている割合は、全国平均とほぼ同程度でした。
年齢や性別などの影響を考慮して分析したところ、

  • 再発への不安が強い人ほど、大腸がん検診を受ける可能性が高くなっていました。
  • 男性では、再発への不安が強い人ほど、前立腺がん検診を継続して受ける可能性が高くなっていました。
  • 一方で、女性では、再発への不安が強い人ほど、年齢に応じた乳がん検診を継続して受ける可能性は低くなっていました。

さらに詳しく分析すると、大腸がん検診については、不安が「全くない」あるいは「非常に強い」場合よりも、「適度な不安」がある人のほうが、年齢に応じた検診を継続して受ける可能性が高いことが分かりました。

考察

患者さんを支える家族や介護者が抱く「がんが再発するのではないか」という不安は、自分自身ががん検診を受ける行動に影響を与えることが示されました。
今後は、この再発への不安が、がん予防や健康的な生活習慣など、ほかの健康行動にもどのような影響を与えるのかを調べるとともに、再発への不安を、検診の受診や健康づくりにつながる前向きな行動へと生かす方法を検討していくことが期待されます。

論文

Takeuchi, E., Kim, Y., Shaffer, K. M., Cannady, R. S., & Carver, C. S. (2020). Fear of cancer recurrence promotes cancer screening behaviors among family caregivers of cancer survivors. Cancer, 126(8), 1784–1792. https://doi.org/10.1002/cncr.32701

関連資料・URL

特になし